興味深い多彩な忘年会がずらり
日本など、フジヤマとゲイシヤのアジアの米食国としか考えていなかったアメリカ人にとって、神戸屋が昭和7年に建てた3階建ての大工場は驚きだったらしく、アメリカの雑誌「ベカズウイクリ」は″なんとむちゃをする。
今につぶれて映画館にでもなるよ″などと書いている。
工場はつぶれなかった。
それどころか、食パンはますます日本人に愛されるようになっていった。
パンは長い間ヨーロッパの主食だったから、パン登場することわざは多い。
パンがことわざに使われた最も古い文献は聖書かもしれない。
「人はパンのみにて生くるものにあらず」という有名なキリストのことばだ。
その後、パンはかけがえのない日常の食事という意味を伴って、いろいろなことわざを作っている。
少し紹介すると、 また、「ブレ″ドアソドバタ」というと食事の最低線のことで、日本人が食事のことを「ご飯」というのに似ている。
「ブレッドアソドバタ・レタ」というと、泊めてもらったときのお礼状のことだ。
また、「ブレッドアソドバタス」というのは「食いけ1方のお嬢さん」という意味である。
数千年間、人類に親しまれ、人類の栄養をささえてきたパンは、これからも愛され続けると思う。
近ごろ、アメリカあたりを旅行してきた人の中には、「欧米には主食、副食というものはない。
強いていえば、肉が主食で、パンは副食だ」などという人がある、けっしてそんなことはない。
つい数十年前まで、パンはアメリカの主食だった。
あるアメリカの老人「私子供のころには、サンドイッチはパンのほう厚かった、今ははさんだ肉のほう厚くなっている」と述懐したということを聞いた。
ある意味では、今日の欧米の食生活は、肉が多すぎるという意味で、人類としては異常な生活といえるのだ。
食生活の国際化、高級化の波に乗って、パンは米食民族のあいだにも、もっと普及することだろう。
また、最近は、少し前の米食不可論の反動のように、米の栄養価を持ち上げる人も多い3米パンより劣っていないことは、パン米より劣っていることを、必ずしも意味しない。
日本人これだけ副食として蛋白質やビタミン類をとるようになった今日、熱量源としての米とパンは優劣つけたいのだ。
ふっくらとしたパンには、米食にはない夢がある。
もう十数年前に封切られたイタリア映画『パンと恋と夢』のイキなカートを紹介しておこう。
ある山村の警察署長道ばたにしゃんでパンをかじっている貧しい老人に、 「なにかはさんであるのかい?」 と聞くと、老人は手に持っていた、もちろんなにもはさんでないパンを2つに割って見せて答える。
「夢がはさんであるのですよ、旦那」 署長を手玉にとる相手はジナロロプリジダ。
恋はなくとも、お金はなくとも、あの老人にはパンと夢あったのだ。
ハリスはよほど牛乳(あるいは羊乳)を飲みたかったらしい。
自分で乳をしぼるからというのだから、日本の役人もおどろいたことだろう。
それだけではなく、ハリスはこの陳情の前後のことであろう、山羊に関する1種の見識を日記に記している。
「(日本の)火山性の高地が山羊の飼育に適していることを知って、山羊この地に移入されていないのは惜しいことだ・これらの高地は山羊のための立派な放牧地となるしヽ山羊の登撃性から みて、彼らのための居心地のよい場所となるであろう。
山羊の乳は栄養に富む食料となるし、チーズもそれからつくられる・このことはヽ日本人が獣肉を食わないとしてもヽ彼らにとって飼う1つの目的となりうるであろう」 ハリスは、幕府に世界の大勢を説いて日米修好通商条約を成立させ、公使に昇進し、滞日3年半で帰国したのだ、そのあいだ、どんな食生活を日本で送っていたかは、わからない。
それから約8年、明治の世明けて、F沢諭吉らによって牛乳の効能喧伝されるようになるまで、いや、その後しばらくも、日本での牛乳は「牛の子」のためのものとされ、いっかな普及しなった。
牛乳は単1の食品としては、世界でもっとも多量に消費されている。
日本では近年まで、「角生えるぞ」などと、まことしやかにいわれて普及しなかった、世界的には牛乳を飲む習慣は広く、古い。
北欧の神話は天地創造の初め、牝牛を2番目に生まれた動物として描写する。
初めに生まれた巨人イミルは、つぎに生まれた牝牛アウダムラの乳を飲んで成長し、人類世界を征服する基をひらいたことになっている。
古代ギリシア人は太陽とともに月を崇拝した、牛はその角の形から月神の聖獣とされ、白い牛の出す乳を神に捧げた。
古代ローマでも、赤ぶどう酒がつくられるようになるまでは、神への供物として牛乳を用いていたという。
供物を分泌する聖獣として牝牛が崇拝され、牝牛の肉は食べなかったという。
エジプトでは、今から6千年前の紀元前4000年ごろから牛を食用や運搬に使っていた。
4千年ぐらい前には牧人の王様というのもいたという。
当時は牛乳を飲んだほか、洗顔にも使ったらしい。
クレオパトラが牛乳風呂に入って肌をみがいたという話も有名だ。
今日も行なわれる牛乳美容法の歴史もずいぶん古いわけだ。
5千5百年前の壁画には、牛の子と人間の子いっしょに牛の乳房を吸っている場面もある。
模写を見ると、親牛びっくりしたような顔でふり向いて、自分の乳を横取りしている人間をにらんでいる。
ヘブライ人は、太古は遊牧民で、牛や羊の乳を飲んで、加工していたという。
インドの神話はいちばん話が大きい。
創世紀、まず7つの海つくられた塩の海・砂糖の海・酒の海・水の海とならんで、乳の海・乳漿の海・。
バターの海ができた。
7つの海のうち3つを乳および乳製品満たしているのだ。
しかも乳の海からは吉祥天女・甘露・如意聖牛(なんでも生み出すことのできる牛)など、いろいろ結構なものが生まれた。
インドで大昔から牛乳や乳製品が好まれていたことは、この話から明らかだ。
今日、東南アジアの国々で宗教上、動物の肉を食べることを禁じているところでも、牛乳と鶏卵は生きものではないとして許している。
卵のほうは明らかに1個の生きた細胞で、やがて1羽の鶏になる無限の命を秘めているのだから、動かないからといって動物あつかいしないのものものだ・そこへいくとヽ牛乳はたしかに無生物だしヽ粗食の国々の唯1のすぐれた栄養源として 役立ってきたのであろう。
釈迦は6年間にわたる厳しい苦行の末に弱り切っていたとき、村の婦人ささげた牛乳の粥を食べて体力を回復させたという。
また、80歳で没した死因は発酵牛乳の飲みすぎだという説がある。
とにかく、太古、インドは東洋の牛乳国だったのだ。
さて、インドに発した仏教を信仰する日本で、古代牛乳飲用の習慣がなかったのは奇なことである。
いや、その習慣は中国へさえも伝わらなかった。
中国では4千年も昔から牛を飼っていたことはたしかなのだ。
牛乳飲用の記録はなく、あっても牛乳の薬効を記載するだけだという。
このことは食物や食習慣の伝播の歴史のうえの1つの謎とされており、輸入のため輸送中牛乳をどこかの海に落としたのだろうという説もある。
暑い土地のことだから、船上で腐敗してしまうせいかもしれない。
ただ、1口に中国といっても、北アジアには牛乳を飲み、おそらくは羊の乳も飲む放牧、騎馬民族接していたわけで、北からも牛乳飲用の風習が中国に伝わらなかったのも不思議だ。
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